shall we dance in the rain?

日曜日、それは週に一度のお休みの日だと喜んだのもつかの間、任務の終わり頃にいつもの全身緑色のタイツに身を包んだガイ先生が明日は予定があるからアカデミー前に集合なと云い放った為、休みだと喜んだのはぬか喜びだったことを知り盛大に落胆した。ガイ先生率いる第三班は優秀な人が多く、ネジにテンテン、リーなど私を抜いた三人は本当に凄いのだ。私は時々劣等感に苛まれその度に普段は鈍いの上を行くガイ先生が一番に気がつき気合を入れてくれるのだった、それが暑苦しいと思ってしまえばそこまでなのだがたまにそんな先生が第三班の、私の先生でよかったと思えたのだった。

そう云えば明日は雨だと天気予報で云っていたと休みの潰れた事に対して落ち込んでいるリーを抜く三人の、私を抜く二人のどちらかが呟いた。それは次の朝立証されるわけなのだが雨如きでガイ先生が謎の集合を解くわけがなく、傘を差して徒歩で向かった。そこへ向かうと案の定ガイ先生は傘を差して集まるのを待っていた、私はそれを見て小走りになる。ガイ先生、と手にしていた傘がくるりと一回転してガイ先生は私を見つけた。

「おお、!早いではないか、」
「ガイ先生こそ、早いですね」

俺は当たり前だ!と雨の音にも負けず響く先生の声に微かに笑う。他の皆はまだですか、と声を上げるとガイ先生には届かなかったらしくなんだと返ってきたから、もう一度繰り返すときには雨にも負けないように大きな声を出して問うとああ、とガイ先生は溢した。ああ、ってどういう、と云う声は雨の音に消される。リーは昨日電話があって熱があるらしく今日は来られないということだ、と云う先生の声に昨日はあんなにぴんぴんしていたのにと云う疑問は残りのネジとテンテンのいない理由を話し出すガイ先生の声によってその考えは吹き飛ばされた。

「ネジは家の事情で来れんらしい、テンテンも同じようなものだ」
「あ、え…そうなんですか」

ガイ先生は溜息をひとつ落とし、あいつらめとここに来てから初めて呟くような声のトーンだったのだがその呟きはこの雨の中でもしっかりと耳に残った。もう来ないと分かった人達を待っていても仕方なく、今日これからどうするつもりなのだろうとガイ先生を見上げるとかちりと視線が合い驚きに心臓がバウンドした。雨が急に酷くなり傘を差す手にも力が入る。今日のガイ先生は少し変だ、いつもはこんな雨でも傘を差したところを見た事がなかったし、口数の少なさ、寒いギャグが飛ばないのもおかしいと顔を下に向けた途端、頭上でガイ先生が突然叫びだした。顔を上げる。

「うがあああ!俺にはこんなの似合わん!」
「せ、先生…!?」

傘が宙を舞って遠くへ落ちた。もちろんこの土砂降りの雨の中だ、ガイ先生はこの数秒間で風邪を引きそうな程雨によって濡れ、いつも着ている緑色のタイツが黒く変色している。急に癇癪を起こし始めた先生に傘を殴り捨て慌てて駆け寄るけれども上忍一人が暴れているのだ、それを中忍になりたての私が止められる筈もなく数秒後にはガイ先生と同じように濡れ鼠となった。