「ねえ、本当に気にならないの?」
今日はいのも私も任務がなく、いのは逃げていた私を何処からか見つけ出して甘味処へと連れ出していた。丁度三週間目突入した日だった。興味ない、といつものように返す私にいのだけはいつもとは違い溜息をこぼして、出されたお茶と頼んだお団子を頬張り始めた。私も私でいつもとは違ういのの反応に訝しげに眉を寄せたが聞くとなるとそれはシカマルへの興味を肯定してしまうと思い黙って白玉をスプーンで掬った。かちゃかちゃ音がたってしまうスプーンに少し苛つきながらも黙ってあんみつを口に運ぶ、すると目の前から息が飛んできて目線だけを上げるといのがシカマルがね、と話を切り出した。
「シカマルが、何?」
「…その彼女って云うのは、」
いの、と云う声が聞こえ顔を上げるとシカマルが目の前にいた、それでもって凄い形相でいのを睨んでいた。いのはまずいと云った顔をしてシカマルに笑いかけるけれどもシカマルの表情は寸分も変わらないまま。何、いの、さっきの続きを聞かせてよとこの雰囲気にそぐわないことを云える程鈍くない私は黙ったままスプーンにのったあんこを口に運んだ。あれ、そういえば何でシカマルがここにと口内からスプーンを出し顔を上げるけれどそこにはいのしかおらずシカマルは居ない。
「あれ…、シカマル、は?」
「帰ったわよ」
いのは肩を竦めてお茶を啜る。何でと聞こうとしたけれどいのの目がこの話題は終わりと云っていたものだったから私もそれ以上は何も発せず再度あんみつを食すことに専念した。美味しい筈のあんみつは何故か味がしなかった。
「じゃあね、いの」
いのはこの後任務があるらしく厭そうに顔を顰めた、その理由は明白でシカマルが居るからだと直ぐにわかった。手を振り任務のない私はそのまま帰路へと向かう。明日の任務に備えて早く寝ようと頭の中で計画を練っているというのに、何故かシカマルの顔が浮かんでは消え、驚いた。もしかしたらいのが云うように私は以外とシカマルの事が気になっているのかもしれないと感じてしまったらその顔も分からない彼女に嫉妬心を覚えた。