2010/08/21|教授
「起きたのかね」 「一緒に暖まりましょう」 そう云って彼女は引きずっていたローブをスネイプにかけると共に自分も暖まる為に胸の中へ飛び込む。それに怒る事はせずスネイプは優しい手つきで彼女の髪の毛を梳いた、そのあまりの熱に彼女は眼をつむれば頭上からくつくつと笑いを押し殺した声が聞こえてきた。 蜉蝣みたいな恋人 |
2010/10/10|教授 「スネイプ教授、」 声をかけてきたのは他の生徒が皆目いなくなってからだ。涙で渇いた喉から発せられる声は掠れてスネイプの聴覚を刺激した。涙の痕が残る少女の頬に思わず手を伸ばしかけて己のしかけた事に気が付きそれを引っ込めた。
「何がしたいのだね、」 私の涙で喉を潤せばいい |
2010/10/10|教授
「ずっと、好きでした」 いつの間にか少女の名を男は違和感なく紡ぐようになり少女も頬を平常よりも朱く染めながらたどたどしく男の名を口にする。その姿に男は胸を何度焦がした事だろうと薬品が並々に入っているガラス瓶を棚に置くと他のそれらが窮屈そうに前へ出る。手慣れた男、スネイプにしてみたらガラス瓶が落下しないように努める事は容易だ。少女はスネイプの行動を彼が添削等で使っている机の手前にあるひじ掛け椅子に腰掛けていた。スネイプの受け持つ教科が酷く繊細なものであるから、彼の仕草一つ取っても指先は驚く程感情が篭り下手をしたら魔法よりも凄いかもしれないと少女は思う。
「スネイプ先生?」 薬品を片付ける手が止まり、少女へ視線がいく前に思い留まらせ視界には自身がしている作業とは全く関係ない本棚が眼に映った。背後で少女はスネイプに視線を寄越して、それがあの想いを綴った時のように切実でなかったならスネイプはこうはならなかっただろう。気付かぬ振りと気付かないのは自身の中では大いに違うものだが少女から見たスネイプはあまり変わらぬように見える、それは幾ら想いの相手であっても解らない事くらいある。スネイプは何故今こんな事を聞いてくるのか少女の心の内が分からなかった。
「前に申した筈だが、」
「私の、事本当に…想っているんでしょうか?本当は、忘れられない…ひ、人がいるんでしょう…っ」 まるでガラス越し |
sozai by tinytot|title by honey bunch_のばら帝国 |