手を繋ぐと暖かい気持ちになるように、少女と少年は唇を自然の摂理だと云うように合わせた。それは暖かくもあり切なくもあり愛しいものだと知るにはまだ幼い二人は草を身体全体で押し潰した。隣に寝転がる少年に少女はどんな気持ちかと聞こうと口を開いたが何故かそれは聞いてはいけない気がして目を瞑って何も云わなくなった少年と同じようにした。少年はそんな少女を感じ、気付かれないように目蓋を持ち上げた。手を伸ばそうとしてそれが急に恥ずかしい事だと分かり手を伸ばす事に躊躇いを抱いた。それを知らない少女は目を瞑ったまま草の香りと風の気持ちよさを身体に受けている。胸の辺りに暖かい気持ちが広がる、と感じた少年は嗚呼これが愛おしさと云うものなのかと初めて知る。伸ばした手はゆっくりと少女の髪を撫で草むらに落ちた。少女はそんな少年の動作がどういう意味を孕んでいるのか分からず目蓋を持ち上げるけれどその頃にはもう少年は眠りにはいってしまいまた少女は少年の目を見る事が出来ずに終わった。私を見てと胃が収縮するような感覚が少女を襲い、少しだけ悲しい気持ちを抱いた。それが切なさであることを少女は分からず少年の頬に唇を落とした。そうすると不思議な事にそれはまた暖かくなるのだ。

(幼い秘め事、危うい二人)

(20100717)(×)(そうして二人は結ばれる)