どうしよう、その呟きは風と共に流れるだけで何の解決にもなっていない。
かくれんぼをしようと云った天祥と四不象と武吉に付き合うべく外へ向かった。どうやって鬼を決めようという議論で三十分を費やしそれでも決まらない三人にじゃんけんはと提案するとあっさりとそれに決まり、じゃんけんの結果鬼は四不象に決定した。一斉に四不象から逃げたすのを見届けて私も急いで隠れ場所を探しに走る。遠くで四不象が三十と云う声が聞こえた。その声がする逆側に目線を向けると丁度よく目に入った大木の窪み。よく見ないと分からないようなその窪みは人が一人入るのに最適で私はそこで隠れることに決めた。足を折って身を縮めればきっと気づかれにくい、そう思って屈んでじっと見つけてくれるのを待つ、否これはあくまでも隠れるのが目的なのだから見つけてくれるというのは変だろうか。膝を抱えながらうんうんと考えていたら日頃の疲れが祟ったのか私は隠れた先の木陰で眠ってしまっていた。

どうしようと振り出しに戻る私の脳内経路はどう考えても寝すぎでまだぼおっとする。空を見上げれば夕刻だと知る、空一面の赤色にはため息が出るがそんなことよりも思っていたより四不象は私を見つけることが出来ず、私は気を抜いた一瞬で眠りについてしまっていたまではよかった。こんなにも悩むことなんてまずしない。戻ったら皆に謝ればいいのだから、けれど今の私にはそれ以外の問題があった。抱えていた筈の膝を寝る体勢としては辛かったのは無意識の内に伸びきっていて隠れているのは身体だけ。それはわかる、けれど何故膝上で彼が寝ているんだろうと、そうこれが私のどうしよう、の矛先だった。

「師叔、」

返事はなし。変わりに聞こえてくるのは小さないびき。もう、と師叔の頭を軽く叩くけれど起きやしない。そのまま頭に置いた手で今度は撫でたら髪の毛は悔しくなるくらいふわりとしていて、雲に触れたらこんな感じなのかなというような感触だ。それでも止まらないいびきにむすりとして前屈みになって髪の毛に唇を落としたと同じ時に彼のいびきは面白いくらいに途絶えた。

(ぐるりと巡った想いの末路は、)

(20090903)(×)(することなんてお見通し)