太公望の叫びと私の叫びが重なって普賢へと云うのに普賢は此方を見て穏かに笑って消えた。隣で茫然とする太公望と状況が読めない私が取り残される。どうして、と私が吐いた言葉に誰も答えてはくれずに沈んだ。少し前なら皆そこにいて、気をつけて、や、頑張って、と云えば答えてくれたのに今は誰もいないのだ、そこに残るのは最後に普賢が爆発を起こした跡と聞仲がいたと思われるところは爆発の影響がないように小さな焦げだけが残っているだけだった。聞仲は生きている、と云った太公望の瞳は虚ろで何て返せばいいかわからなくなった。こんな筈ではなかった、こうなることは予想していた、最低だ。そのどれもが太公望の真実でそれを合図に私は苦しくて仕方なくなり、胸を抑えてうずくまった。くるしいくるしい、そんな表情をしているのに何で貴方は自分を責めるの。こうなることくらい皆知ってたよ、私だって知っていた。それなのに貴方は自分を責めて、止めない。悲しいのは太公望も同じでしょう、蹲った私を見て太公望は謝った。私は首を振って否定した、ぽたぽたと手の甲に落ちる涙は瓦礫にも落ちる。太公望は私の肩を自分の方に引き寄せてまた謝った。

「太公望が泣かないから私はその分まで泣く、よ」
「…すまない、

本当は心で沢山泣いているのに泣けない貴方に、否泣くことを何処かで必死で止めている貴方に代わりなんて出来ないけれど。

(だから、ぼくは泣くのです。)

(20090911)(×)(誰かがそれを弱さと説くのなら私は強さと説きましょう)